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朝井リョウさんの『スター』をご紹介!あらすじなど

国民的スターって、今、いないよな。

…… いや、もう、いらないのかも。

誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えた。

新時代の「スター」は誰だ。

朝井リョウさんの『スター』は、2020年10月7日に刊行された長編小説です。

作家生活10周年記念作品〔白版〕。

「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」

名監督への弟子入りとYouTubeでの発信。

真逆の道を選んだ二人の青年が、映像の世界でもがく姿を描きます。

受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応――。

作品の質や価値は何をもって測られるのか。

私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。

スター


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あらすじなど

主人公は、立原尚吾(たちはらしょうご)と大土井紘(おおどいひろし)。

二人は大学の映画サークルに所属していました。

そして、共作の映画で新人の登竜門となる映画祭のグランプリを受賞します。

大学生でグランプリ受賞――輝かしい「栄光」を手にした二人。

卒業後、二人は真逆の道を選びました。

尚吾は、名監督・鐘ヶ江(かねがえ)への弟子入りを選択。

映画監督の補助として、伝統的な手法を守りながら、着実なデビューを目指します。

「いい映画とはこういうものだ」という確立した考えがあります。

一方、紘は、YouTubeでの発信という新しい道を選びました。

「いい映画については分からないから、自分のやりたい道を進む」

新しい映画のカタチを目指すため、毎週数本の動画を配信します。

バズれば誰でもすぐスターになれる世界。

金と時間をかけても、最悪花開かないかもしれない映画の世界。

それぞれの背景や生活環境、そして求めるもの、信じるもの。

二人の対比が、それぞれの現在を浮き上がらせます。

同じ映像の世界でも、真逆の道を選んだ二人の立ち位置。

世間からの評価や業界の直面する状況の変化などで、互いに抜きつ抜かれつ。

目まぐるしく変わっていきます。

受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応――。

色んなものを作って発信するコンテンツが増えた今の世の中。

こっちの方が優れてる、劣ってると、違う土俵のものを並べて叩き合う。

斜陽産業とかオワコンとか、自分がかかわっている世界についてそういう風に言われること。

それを完全に否定できないこと。

今まで通りでは成り立っていかない。

その中でどう生き延びていくか考えること。

作品の質や価値は何をもって測られるのか。

私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。


朝井リョウさんについて

朝井リョウさんは、1989年岐阜県不破郡垂井町生まれ。

小説家、ラジオパーソナリティとして活動されています。

岐阜県立大垣北高等学校、早稲田大学文化構想学部を卒業されています。

2009年、大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。

2012年、同作が映画化されました。

2013年、『何者』で第148回直木三十五賞を受賞。

直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少となりました。

2014年、『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞。

2021年、『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞されました。

主な作品:

  • 『桐島、部活やめるってよ』(小説すばる新人賞受賞、映画化)
  • 『何者』(直木三十五賞受賞、映画化)
  • 『世界地図の下書き』(坪田譲治文学賞受賞)
  • 『正欲』(柴田錬三郎賞受賞、映画化)
  • 『チア男子!!』(映画化)
  • 『死にがいを求めて生きているの』
  • 『どうしても生きてる』

朝井リョウさんといえば、現代社会の若者が抱える違和感や葛藤を鋭く描く作家として知られています。

「自分はどうなんだ?」と考えさせてくる作品。

この世界での根源的な生き方を問われているような気がする作品。

文壇評価と人気を両立しながら作品を量産してこられました。

本作『スター』は、作家生活10周年記念作品として、朝日新聞に連載されました。

朝井さんにとって初の新聞連載です。

そして、この新聞連載が、本作のテーマ選定の契機になったそうです。

「どの家庭にも届く”新聞”に小説を連載することは子どもの頃からの夢でしたが、いざ現実になったとき、新聞の影響力は小さくなっていました。そんな認識のズレを行き来するうち削り出てきた文章たち」

朝井さん自身がこう語る本作は、『正欲』と共に作家生活10周年を飾った作品です。

本作が白版、『正欲』が黒版という位置づけです。


本作の読みどころ

時代を切り取る力

朝井リョウさんは、時代を切り取るのがとても上手な作家だと言われています。

本作でも、YouTubeやオンラインサロンの現状をからめて、「古き良き時代」と「新時代」のコンテンツ変化が描かれています。

変容の速度がどんどん速まる時代に抱える大きな問いに迫ります。

言語化される違和感

作中では、誰もが心のどこかで思っているような類の、疑問や不満が異常に高い精度で言語化されています。

読んでいて頷きが止まらない、という声が多数。

何とも言葉にできない感情や状況、人間関係の曖昧な部分まで、咀嚼して、きちんと文字に起こしています。

突き詰めてとことん考えて考えて文字にしているんだというのが、ひしひしと伝わります。

プロとアマチュアの境界線

誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えました。

バズれば誰でもすぐスターになれる世界。

金と時間をかけても最悪花開かないかもしれない映画の世界。

作品の質や価値は何をもって測られるのか。

この根源的な問いが、物語を通して読者に突きつけられます。

対照的な二人の青年

「いい映画とはこういうものだ」と確立した考えがある尚吾。

「いい映画については分からないから自分のやりたい道を進む」という紘。

相反する価値観を持つ二人の主人公の物語は、朝井さんの『ままならないから私とあなた』に似ている方式です。

『ままならないから~』は人生観の違いに対して、『スター』はエンタメにテーマを絞った作品となっています。

「学生から就職」のリアル

学生時代に映画祭でグランプリを取る、という「栄光」を背負う二人。

そこからどう進んでいくか、を試される日々。

「学生から就職」の夢と現実と葛藤という流れは、朝井リョウらしくリアルに描かれています。

価値観の押し付け合いへの問い

良し悪しを決めたり、優劣を決めたり、上下を決めたり、有無を決めたり。

最近の世の中は、しすぎているのかもしれません。

価値観の押し付け合いで生まれる軋轢。

それぞれが理解し合うようなことはなく、対立を続けます。

その状態への生きづらさみたいな感情。

それが丁寧に描かれています。


こんな人に特に読んでほしい

朝井リョウファンの方

『何者』『正欲』などで知られる朝井リョウさんの作家生活10周年記念作品。

朝井さんらしい言語化の力が存分に発揮された作品です。

クリエイターの方

映像業界、コンテンツ業界で働く方には特に刺さる内容です。

自分がかかわっている世界の変化を、若い視点で描いた作品として読めます。

YouTubeやSNSで発信している方

新しいメディアで表現活動をしている方にとって、共感できる部分が多い作品です。

「バズ」と「質」の間で揺れ動く感覚が描かれています。

「スター」の定義が変わった時代を生きる方

昔はスターと言えばエンタメの最前線で活躍し、同じ人間とは思えないような非現実感さえ纏う圧倒的な存在感をもつごく一握りの人間でした。

しかし現代では、様々なSNSや創作発信ツールの発達化により、受け手の心に刺されば誰もが「スター」になることができます。

そんな時代の変化を考えたい方に。

価値観の押し付け合いに疲れた方

社会と交わっている限り、自由に動き回れるように思えた場所にも、すぐに次の新しいルールが姿を現してくる世界。

その生きづらさを感じている方に読んでほしい作品です。

若い世代の方

大人になった今だから言えるのかもしれないけど、中高生の頃にこの作品を読んでいたら、人生が少し変わっていた気がする――。

そう語る読者もいます。

若い世代にこそ読んでほしい一冊です。


注意点など

エンターテインメントとしては薄め

形式としては小説ですが、ストーリーの存在感は薄めです。

エンターテインメントとして読むにはお勧めできません。

読みやすい自己啓発本のような感じ、という声もあります。

読み応えに物足りなさを感じる方も

長く残る(残したい)往年のスター、名監督、名画座。

そういう古き良きものと消費され回転していく新しいものたち。

それらをもう少しくっきりと描いてほしかった、という声もあります。

朝井リョウの「めんどくさい感じ」

朝井リョウさんの「めんどくさい感じ」が好きな方はぜひどうぞ。

逆に、それが苦手な方には合わないかもしれません。


おわりに:新時代の「スター」を問う物語

『スター』は、朝井リョウさんが2020年10月7日に刊行した長編小説です。

朝日新聞出版から刊行されました。

国民的スターって、今、いないよな。

…… いや、もう、いらないのかも。

誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えました。

新時代の「スター」は誰だ。

作家生活10周年記念作品〔白版〕。

「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」

新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。

ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選びます。

受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応――。

作品の質や価値は何をもって測られるのか。

私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。

朝日新聞連載、デビュー10年にして放つ長編小説。

直木賞受賞作家・朝井リョウさんが描く、現代社会の根源的な問い。

時代を切り取る力。

異常に高い精度で言語化される、誰もが心のどこかで思っている疑問や不満。

YouTubeやオンラインサロン、「古き良き時代」と「新時代」のコンテンツ変化。

バズれば誰でもすぐスターになれる世界と、金と時間をかけても最悪花開かないかもしれない映画の世界。

相反する価値観を持つ二人の青年の物語を通して、作品の質や価値とは何かが問われます。

社会と交わっている限り、自由に動き回れるように思えた場所にも、すぐに次の新しいルールが姿を現してくる世界。

価値観の押し付け合いで生まれる軋轢。

その生きづらさ。

それらが丁寧に描かれています。

仕事でも趣味でもなんでも、自分が生み出したものは自分で褒めてあげる。

それ以上を求めて期待すると不幸になることもあります。

ただ自分がやりたいこと、自分の才能を活かせること、自分自身を褒めてあげられることを一生懸命続けていく。

誰になんと思われようとも、自分自身の行動にだけ向き合える人になる。

本作は、そんなメッセージを読者に投げかけます。

『正欲』と共に作家生活10周年を飾った長編小説。

新時代の「スター」を問う物語を、ぜひお読みください。

スター

この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。

おわり

ジャケドロ661

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