
「刑事にできるのは、事実を見つけ、真実に向き合わせること、それだけだ」
顔を失った死体の謎を追う、孤独な刑事の物語。
すべてが伏線となり、最後に裏返る真実。
本を閉じた後、タイトルの意味が変わる驚愕のミステリ。
櫻田智也さんの『失われた貌』は、『蟬かえる』で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をW受賞した期待の新鋭が放つ、初の長編ミステリです。
地道な捜査を描く警察小説であり、孤独な探偵が失敗を繰り返すハードボイルドであり、謎解きのおもしろさに満ちた本格ミステリ。
各著明人が絶賛し、発売直後に異例の3刷が決定した話題作です。
- あらすじなど
- 本格ミステリの真髄を味わえる作品
- 櫻田智也さんのキャリアと本作の位置づけ
- 作品の読みどころ
- 読み終わった後の余韻
- こんな人に特に読んでほしい
- 注意点など
- おわりに:本格ミステリの醍醐味がここに
あらすじなど
物語の舞台はJ県警媛上警察署。
主人公は捜査係長の日野雪彦。
山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた身元不明の死体が発見された。
不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生が訪ねて来て、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。
彼の父親は十年前に行方不明になり、失踪宣告を受けていた。
無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
日野と同僚の入江、そして何やら過去にあったらしい生活安全課の羽幌課長。
彼らが足を使って積み重ねる地道な捜査の先に、誰もが予想しない真実が待ち受けている。
本格ミステリの真髄を味わえる作品
周到に張られた伏線
本作の最大の魅力は、その緻密な構成にあります。
読者を「一行も読み飛ばしてはいけない」という緊張感で包む、無駄のない文章。
すべてが伏線となり、最後に一気に回収される快感は、まさに本格ミステリの醍醐味です。
伊坂幸太郎は「本物の『伏線回収』と『どんでん返し』をお見せしましょう!」と絶賛。
米澤穂信は「ミステリーが好きで良かったなあ、本当に良かったなあ、と思わずにはいられない」と評しています。
タイトルに込められた二重の意味
「失われた貌」というタイトルは、ただ顔が潰された死体を指すだけではありません。
物語を読み終えた後、このタイトルが別の意味を持つことに気づかされます。
著者自身が語るように、ラストにまた違った意味をもたせられるタイトルとして選ばれたこの言葉。
その真意は、ぜひ本作を読んで確かめてください。
櫻田智也さんのキャリアと本作の位置づけ
短編ミステリの名手が挑んだ初長編
櫻田智也さんは、1977年北海道生まれ。
埼玉大学大学院修士課程を修了後、2013年に「サーチライトと誘蛾灯」で第10回ミステリーズ!新人賞を受賞してデビューしました。
昆虫好きの青年・魞沢泉を探偵役に据えた短編集『サーチライトと誘蛾灯』『蟬かえる』は、生物学の知識をちりばめた謎と切れ味鋭いロジック、とぼけたユーモアが魅力のシリーズとして人気を博しています。
特に『蟬かえる』は2021年に第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞をW受賞。
この栄えある二つの賞を同時に受賞した作品は、わずか3作しかありません。
ガラッと変わった作風への挑戦
本作『失われた貌』は、これまでとガラッと作風が変わっています。
著者自身が「違うものを書こう」と決めたことが出発点だったと語る本作。
構想7年、満を持して発表された初の長編は、組織人たる刑事が同僚たちと共に足を使って捜査する、実直な警察小説です。
探偵役の個性が光る短編シリーズとは異なり、地道な捜査と人間ドラマを描いた本作は、著者の新たな一面を見せてくれます。
作品の読みどころ
孤独な刑事・日野雪彦の魅力
主人公の日野雪彦は、非情な私立探偵のようだと評されます。
組織の中で働きながらも、どこか孤独を抱えた刑事。
恩田陸は「主人公の日野は非情な私立探偵のようだ。彼の葛藤を勝手に想像し、しばらくそのことばかり考えていた」と語っています。
事件を解決するために、時に冷徹に、時に人間的に。
日野の内面の揺れ動きが、物語に深みを与えています。
地道な捜査の積み重ね
華やかな推理ショーではなく、足を使った地道な捜査。
聞き込み、証拠集め、わずかな手がかりを追う日々。
刑事という職業の現実が、リアルに描かれています。
捜査が仕事であり、事件が日常である刑事の視点で描かれる物語は、派手さはないものの、確かな手応えを感じさせます。
人間ドラマとしての深み
本格ミステリでありながら、人間の悲しみや愛おしさが丁寧に描かれています。
櫻田作品の特徴である、ガチガチの本格なのにどこかにほろりとする優しい視点。
その優しさにより哀しさが強烈に光る、そんな魅力が長編である本書でさらにくっきりと浮かび上がっています。
読み終わった後の余韻
「アター!」となる衝撃
多くの読者が口を揃えるのが、ラストの衝撃です。
「うおおお、鳥肌たった……!!」
「面白過ぎて止まらない。19:00に読み出してノンストップで2:46に読み終わる」
そんな声が続々と寄せられています。
すべての伏線が回収され、真実が明らかになる瞬間。
本を閉じた後も、しばらくその余韻に浸ってしまう読書体験が待っています。
読み返したくなる構造
一度読み終えた後、もう一度最初から読み返したくなる。
それが本作の特徴です。
伏線の張り方、何気ない会話の意味、すべてが違って見えてくる。
二度目の読書では、また違った発見と感動があるはずです。
こんな人に特に読んでほしい
本格ミステリが好きな人

緻密な伏線と論理的な謎解きを求める方には、まさに理想的な作品です。
「これぞ本格ミステリ」と言える王道の展開が楽しめます。
警察小説やハードボイルドが好きな人
地道な捜査を描く警察小説として、また孤独な探偵の物語として。
多面的な魅力を持つ本作は、幅広いミステリファンに応えてくれます。
櫻田智也ファン
『サーチライトと誘蛾灯』『蟬かえる』を読んできた方には、作家としての新たな境地を見せる本作は必読です。
短編とは異なる長編ならではの魅力を、存分に味わうことができます。
伊坂幸太郎、恩田陸、米澤穂信のファン
この三人が揃って絶賛する作品は、そう多くありません。
彼らの推薦を信じて手に取る価値は、十分にあります。
注意点など
一気読み必至
本作は、途中で止めることが難しい作品です。
一度読み始めると、続きが気になって止まらなくなります。
時間に余裕があるときに読み始めることをお勧めします。
ネタバレ厳禁
すべてが伏線となる本作は、ネタバレに非常に弱い作品です。
SNSなどで感想を見る前に、まず自分で読んでください。
何も知らない状態で読むことが、最高の読書体験につながります。
一行も読み飛ばせない緊張感
細部まで計算された構成のため、気を抜いて読むことができません。
集中して読む必要があるため、疲れているときよりも、しっかり読書に集中できるタイミングがベストです。
おわりに:本格ミステリの醍醐味がここに
『失われた貌』は、『蟬かえる』で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をW受賞した櫻田智也さんが、構想7年をかけて挑んだ初の長編ミステリです。
2025年8月20日に刊行された本作は、発売直後に異例の3刷が決定し、初版の6倍の部数に到達。
多くの読者から絶賛の声が寄せられています。
「本物の伏線回収とどんでん返し」を約束する本作は、ミステリファン必読の一冊です。
周到に張られた伏線、閃きを導く手がかり、最後に裏返る真実。
本を閉じた後に意味合いを変えるタイトル。
ミステリに求めるすべてがここにあります。
著者自身が「これが唯一の長編になってもかまわないと思える」と語る本作。
その言葉に込められた覚悟と自信を、ぜひあなた自身の目で確かめてください。
地道な捜査を描く警察小説であり、孤独な探偵が失敗を繰り返すハードボイルドであり、謎解きのおもしろさに満ちた本格ミステリ。
『失われた貌』は、現代ミステリの到達点の一つを示す、傑作です。
この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。
おわり
ジャケドロ661
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