「つきしろ」――月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色
それは、戦後の過酷で悲惨な状況を生き抜いた男の記憶に残る色だった。
宇佐美まことさんの『月白』は、2026年1月7日に刊行された長編小説です。
戦後の混乱期に5人の男を殺害した女殺人鬼・北川フサ。
彼女の事件を追うルポライター・海老原が知ったのは、フサが一人の少年を連れ歩いていたという事実。
戦災孤児たちが置かれた境遇の酷さ。
一瞬にして家族を失いながらも必死に生きていく子供達の末路。
戦争は日常を破壊し、人間の尊厳をも奪う――。
あらすじなど
主人公は、海老原。
妻を亡くし、息子の夏樹を一人で育てるフリーライター。
ある日、雑誌『月刊クリスタル』編集部から、一つの依頼が入ります。
戦後の殺人鬼が起こした事件をもう一度掘り下げて検証してほしい――。
殺人鬼の名前は、北川フサ。
彼女は戦後の混乱期に、5人の男を立て続けに殺害しました。
そして、死刑となっています。
単なる週刊誌の連載のはずでした。
しかし、取材を始めた海老原は、一つの事実を知ります。
フサが、赤の他人である少年とともに行動していたこと。
そして、その当時の少年は、今も存命だった――。
生きていれば90歳を超えているであろうその人物の回顧。
それと交錯しながら、物語は進んでいきます。
当時の戦災孤児たちが置かれた境遇の酷さ。
一瞬にして家族を失いながらも必死に生きていく子供たち。
その末路は、あまりにも悲しい。
フサの殺人動機は、不条理な世の中への憎しみなのか。
いつしか海老原は、フサに導かれるように、事件に没入していきます。
次第に、彼女の残忍な行動に抗い難い魅力を感じ始める海老原。
フサに巣くう強烈な感情は、やがて彼の苦悩をも炙り出していく――。
「つきしろ」。
月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色。
それは、戦後の過酷で悲惨な状況を生き抜いた男の記憶に残る色でした。
宇佐美まことさんについて
宇佐美まことさんは、1957年愛媛県松山市生まれ。
小説家、ホラー作家、推理作家として活動されています。
現在は松山市在住。
松山東雲高等学校、松山商科大学(現・松山大学)人文学部を卒業されています。
小学生の時からホームズやルパンなどが好きで、5年生・6年生の頃は図書委員、読書クラブに所属。
中学生の時『しろばんば』を読んで感動し、「私は明治時代に生まれたかった」と言って友人たちに驚かれたエピソードも。
大学時代は1日1冊のペースで小説を読まれていたそうです。
40代から小説を書き始め、松山市の「坊ちゃん文学賞」などにも応募。
2006年、50歳で「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞を受賞し、作家デビュー。
2017年には『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞されました。
宇佐美さん自身、「私が書く小説は私が読みたい小説」と語られています。
原点は怪談。
「やっぱり私の原点は怪談だなと。ミステリーで犯罪に出くわす人間に焦点をあてるのでも、怪異に出合った人間を書くのと同じなんだとわかった」
怪談からミステリー、社会派人間ドラマまで、多彩に作風を広げてこられました。
代表作:
本作『月白』は、宇佐美さんの2026年刊行作品です。
本作の読みどころ
戦争への怒りが込められた物語
「最近の宇佐美作品は戦争への怒りを強く感じる」
読者からそう評される本作。
戦争は日常を破壊し、人間の尊厳をも奪います。
戦後の混乱期の最中、5人の男を殺害した北川フサ。
彼女の事件を通して、戦争で生き残った人たちの想像を絶する悲劇が、その現状と共にあぶり出されます。
戦災孤児たちの過酷な境遇
一瞬にして家族を失った子供たち。
戦災孤児たちが置かれた境遇の酷さに、胸が詰まります。
必死に生きていく子供たちの末路は、あまりにも悲しい。
自由を奪われ、憎しみを心の支えに必死に生き抜く人たちの心の叫び。
それが容赦なく描かれています。
北川フサという女殺人鬼の魅力
戦後の混乱期に、男だけを執拗に殺め続けた女殺人鬼・北川フサ。
彼女の残忍な行動には、抗い難い魅力があると言われています。
フサの殺人動機は、不条理な世の中への憎しみなのか。
彼女に巣くう強烈な感情とは何だったのか。
そして、彼女が連れ歩いていた少年との関係性とは――。
物語を読み進めるうちに、読者は次第にフサの世界に引き込まれていきます。
現在と過去が交錯する構成
生きていれば90歳を超えているであろう、当時の少年。
その人物の回顧と、現代のルポライター・海老原の取材が交錯しながら進む物語。
二つの時代が織りなす構成が、読者を深く物語の世界へ導きます。
「月白」というタイトルの意味
「つきしろ」とは、月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色。
それは、戦後の過酷で悲惨な状況を生き抜いた男の記憶に残る色。
読後、このタイトルをしみじみ噛みしめる余韻が残ると言われています。
こんな人に特に読んでほしい
宇佐美まことファンの方
『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞した宇佐美さんの作品。
戦争をテーマにした社会派ミステリーとして、新たな境地を見せる作品です。
戦争を題材にした作品が好きな方
戦後の混乱期を舞台に、戦災孤児たちの過酷な境遇を描いた物語。
戦争が人間に与える影響を深く考えさせられる作品です。
重厚なミステリーを求める方
単なる連続殺人事件の謎解きではありません。
戦争という時代背景、人間の尊厳、不条理な世の中への憎しみ。
それらが複雑に絡み合った、重厚な人間ドラマです。
心を揺さぶられる作品を求める方
「心を抉られ終始苦しみを伴った」
「戦争で生き残った人たちの想像を絶する悲劇」
読者からそう評される本作は、心を深く揺さぶる物語です。
歴史的事件を題材にした作品が好きな方
戦後の混乱期という、あまり小説で描かれることのない時代設定。
その時代の過酷な現実が、丁寧に描かれています。
注意点など
重く苦しい内容です
戦争、戦災孤児、連続殺人。
テーマが重く、読むのに苦しみを伴う作品だと言われています。
軽い気持ちで読める作品ではありません。
覚悟を持って読むことをお勧めします。
残忍な描写があります
5人の男を殺害した女殺人鬼の事件。
残忍な行動や、過酷な境遇の描写が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
おわりに:戦争が奪った人間の尊厳を描く物語
『月白』は、宇佐美まことさんが2026年1月7日に刊行した長編小説です。
朝日新聞出版から刊行されました。
「つきしろ」――月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色。
それは、戦後の過酷で悲惨な状況を生き抜いた男の記憶に残る色でした。
妻を亡くし、息子の夏樹を一人で育てるフリーライター・海老原。
彼が取材することになったのは、戦後の女殺人鬼・北川フサの事件。
戦後の混乱期に5人の男を立て続けに殺害し、死刑となった女性。
取材を進めるうちに、海老原はフサが一人の少年を連れ歩いていたことを知ります。
そして、その当時の少年は、今も存命だった――。
当時の戦災孤児たちが置かれた境遇の酷さ。
一瞬にして家族を失いながらも必死に生きていく子供たち。
その末路は、あまりにも悲しい。
フサの殺人動機は、不条理な世の中への憎しみなのか。
戦争は日常を破壊し、人間の尊厳をも奪います。
自由を奪われ、憎しみを心の支えに必死に生き抜く人たち。
その心の叫びが、容赦なく描かれています。
「最近の宇佐美作品は戦争への怒りを強く感じる」
読者からそう評される本作。
50歳で作家デビューし、2017年に『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞した宇佐美まことさん。
怪談を原点としながら、ミステリー、社会派人間ドラマまで、多彩に作風を広げてこられました。
本作は、戦争という重いテーマに真正面から向き合った作品。
心を抉られ、終始苦しみを伴う。
しかし、それでも読まずにはいられない。
戦争で生き残った人たちの想像を絶する悲劇。
それが、現状と共にあぶり出されます。
「つきしろ」というタイトル。
読後、その意味をしみじみ噛みしめる余韻が残ります。
重厚な人間ドラマ。
戦争が奪った人間の尊厳を描く物語。
宇佐美まことさんの作品を、ぜひ楽しんでみてください。
この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。
おわり
ジャケドロ661
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