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下村敦史さんの『あいつも誰かに殺される』をご紹介!あらすじなど

「死神」は、あなたの呪詛を待っている——SNS時代の闇を抉る、慄然とするミステリー。

SNSに書き込んだ言葉が、誰かの命を奪う引き金になるとしたら。

「リアリズム」というアプリに投稿された一つの呪詛から、連鎖するように人が死んでいく。

下村敦史さんの『あいつも誰かに殺される』は、現代社会の暗部に深く切り込んだ、息の詰まるようなミステリー作品です。

SNSが日常の一部となった今、誰もが加害者にも被害者にもなりうるという恐怖を、緻密な構成と重厚な筆致で描き出していると評価が高い一冊といえます。

江戸川乱歩賞受賞作家・下村敦史さんの新境地とも呼べる作品といえるでしょう。

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あらすじ

SNSアプリ「リアリズム」に、ある人物への憎しみをあらわにした呪詛が投稿されます。

その投稿に、死神を名乗る謎の人物から一つの返信がつきます。

その直後、投稿の標的となっていた鈴木健三がビルから転落死し、現場には呪詛の画像がプリントアウトされ、貼りつけられていました。

この衝撃的な事件をきっかけに、世間は大きくざわめきます。

アプリ内には殺害を依頼する投稿があふれ、まるでそれに応えるように、25歳の女性会社員、静岡県の中年男性教師、イラストレーターと、一見して無関係に思える人々が次々と命を落としていきます。

被害者に共通点はあるのか。

「死神」と名乗る人物の正体は何者なのか。

捜査一課の警部補・虹ヶ谷礼太郎と、女性刑事・音羽沙織のふたりが、拡大し続けるこの連続事件の謎に迫っていきます。

真相を追うほどに、社会の深淵が姿をあらわす——そんな物語です。

著者について

下村敦史(しもむらあつし)さんは、1981年に京都府出身。

2014年、『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、鮮烈なデビューを飾られました。

江戸川乱歩賞は、日本のミステリー界において最も権威ある新人賞のひとつとして知られており、受賞作がそのままデビュー作となる形式が読者にとっても印象的な登場といえます。

2018年には『黙過』で第7回徳間文庫大賞を受賞されるなど、着実にミステリー作家としての地位を築いてこられた方です。

代表作には『叛徒』『生還者』『真実の檻』などがあり、社会問題や人間の業を題材にした重厚な作風は、多くの読者から高い評価を得ています。

本作『あいつも誰かに殺される』は、現代のSNS社会という題材に正面から向き合った、下村さんならではの問題作といえるでしょう。

読みどころ

「呪詛」が現実の凶器になるという、現代的な恐怖

本作の核心にある設定は、非常に現代的な恐怖を孕んでいます。

SNSに書き込まれた誰かへの憎しみや呪いの言葉が、「死神」という存在によって現実の殺人へと変換されていく——このコンセプトは、日常のインターネット利用と隣り合わせにある恐怖として、読者の心に突き刺さるものがあるでしょう。

「リアリズム」というアプリ名が示すように、本作の舞台となるSNS空間は、現実社会と地続きです。

画面の向こうで誰かを罵倒する言葉、憎悪をぶつける投稿、それ自体はいまや珍しくもない光景かもしれません。

しかし本作では、そこに「実行者」が現れます。

その構図のひとつひとつが、「もしも現実でこれが起きたら」という想像を呼び起こし、ページをめくる手を止めさせるような息苦しさをもたらすといえます。

SNSの匿名性がもたらす言葉の暴力と、それに対する責任の所在という問題を、エンターテインメントの形式で問いかけている点に、本作の大きな読みどころがあります。

被害者の「つながり」を読み解く快感と、その先にある震撼

25歳の女性会社員、静岡県の中年男性教師、イラストレーター——一見して共通点のない被害者たちが次々と命を落としていきます。

この「つながりのなさ」こそが、本作のミステリーとしての推進力です。

読者はページをめくりながら、被害者の背景に隠された糸を手探りで探すことになります。

それぞれの人物像が丁寧に描かれているからこそ、事件の輪郭が見えてきたとき、読者は単なる謎解きの達成感を超えた、何か重い感触を受け取ることになるでしょう。

下村敦史さんの作風に共通するのは、謎が解けた瞬間に「気持ちいい」だけでは終わらせない、社会への問いかけを残す構造です。

本作でも、被害者たちの「共通点」が明らかになる過程で、現代社会のある側面が浮かび上がってくる仕掛けになっていることが、作品の評価をより高いものにしているといえます。

虹ヶ谷礼太郎と音羽沙織——対照的なふたりの捜査模様

本作の捜査を担うのは、警部補・虹ヶ谷礼太郎と女性刑事・音羽沙織のふたりです。

ふたりのキャラクターがどのような対比を見せるのか、そして事件を通じてどのような変化を遂げるのかは、本書を読む上での大きな楽しみのひとつといえます。

連続殺人事件という極限の状況のなかで、刑事たちが何を感じ、何に葛藤し、どのように事件と向き合っていくのか。

その内面描写の積み重ねが、本作をただの謎解きではなく、人間を描いた物語として成立させている要素です。

虹ヶ谷と音羽のふたりが事件の核心に迫っていくほど、物語はより複雑で深い様相を見せていきます。

捜査の進展と登場人物の心理変化が丁寧に絡み合っている点も、本作の読みどころのひとつでしょう。

こんな人におすすめ

社会派ミステリーが好きな方に

単純な謎解きにとどまらず、現代社会の問題と向き合うミステリーを好む方に特に合う作品といえます。

SNS社会の闇、言葉の暴力と責任の問題、見えない連鎖——こうしたテーマを重厚なミステリーの形で味わいたい方には、非常に読み応えのある一冊でしょう。

下村敦史さんの他作品、たとえば『闇に香る嘘』や『生還者』を楽しまれた方にとっても、本作は自然に手に取りやすい作品といえます。

SNSの「言葉」の危険性に関心がある方に

日常的にSNSを利用している方、あるいはSNSにおける誹謗中傷・言葉の暴力問題に関心をお持ちの方にとって、本作は強く響く内容を持つでしょう。

エンターテインメントとして楽しみながら、現実社会への問いかけも同時に受け取れるという二重の読書体験が得られます。

日々の情報環境について改めて考えさせられるきっかけを、本作が提供してくれるかもしれません。

連続殺人ミステリーのスリルを求める方に

「次は誰が狙われるのか」という緊張感が持続する構成は、連続殺人ものの醍醐味を求める読者に存分に応えてくれるでしょう。

被害者の顔ぶれが広がるにつれ、事件の全体像が見えそうで見えない——そのもどかしさと快感が交互に訪れる読書体験は、本作の大きな魅力です。

ページを繰る手が止まらなくなる展開が続く作品といえるでしょう。

刑事コンビものが好きな方に

虹ヶ谷礼太郎と音羽沙織という対照的なふたりの刑事が事件に挑む構図は、刑事コンビもののミステリーを好む読者にとっても楽しめる要素といえます。

キャラクターの個性と人間関係の変化を追いながら、事件の核心へと迫っていく醍醐味があります。

ふたりの関係がどのように深まっていくのかも、物語の大切な読み筋のひとつです。

注意点

刺激的な描写・テーマが含まれる可能性があります

本作は呪詛・殺人予告・連続殺人という重いテーマを正面から扱った作品です。

SNS上のヘイト的な言葉や、凶行を依頼するような投稿が物語の重要な要素として登場することが、あらすじからも読み取れます。

こうした描写への耐性が低い方や、読後感の軽さを求めている方には、あまり向いていないかもしれません。

重厚で社会的な問いかけを持つ作品を読む体制を整えてから手に取るのがよいでしょう。

登場人物が多く、情報の整理が必要になる可能性があります

25歳の女性会社員・静岡県の男性教師・イラストレーターと、被害者の顔ぶれが多岐にわたることがあらすじからも確認できます。

それぞれの背景や関係性が丁寧に描かれているからこそ、読者は事件の全体像を頭に入れながら読み進める必要があるでしょう。

集中して読める環境を整えてから手に取ることで、より物語の密度を堪能できる作品といえます。

おわりに

SNSが人と人をつなぐ一方で、憎しみや呪詛もまた瞬時に広がっていく——本作『あいつも誰かに殺される』は、そんな現代の情報環境が持つ二面性を、ミステリーという形式を通じて鋭く問いかける作品です。

「死神」の正体は何者なのか。

被害者たちをつなぐ糸とは何か。

そして、「リアリズム」というアプリに殺害依頼を投稿した人々は、何を望んでいたのか。

これらの問いが重なり合いながら、物語はひとつの結末へと収束していきます。

下村敦史さんは、江戸川乱歩賞受賞デビュー以来、一貫して人間の業と社会の歪みを題材にとり続けてきた作家です。

本作でもその姿勢は変わらず、むしろSNS社会という現代最前線のテーマを選ぶことで、より多くの読者の日常に近い恐怖を描き出しているといえます。

ミステリーとして純粋に楽しめると同時に、読了後に何かしらの問いを手に持ち帰ることになる作品といえるでしょう。

エンターテインメントと社会的メッセージが高い次元で融合した、下村敦史さんの新たな代表作として評価が高まっていくことが期待される一冊です。

重厚なミステリーを求める方にとって、手に取る価値のある一作でしょう。

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この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。

おわり

ジャケドロ661

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