
「これは友達から聞いた話なんだけどね」人外の隣人と過ごす、不思議な日常ホラー
怪異と友達になることが入居条件。
怖いのに、どこか温かい。
人間ではない「隣人」との奇妙な共同生活を描いた、カクヨム発の日常侵食ホラー。
寝舟はやせさんの『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』は、2024年10月にKADOKAWAから書籍化され、話題を呼んでいる作品です。
2025年11月には待望の第2巻も発売され、さらには2025年8月14日からコミカライズも開始。
カクヨムや小説家になろうなどweb上で連載されていた本作は、ホラーでありながらどこかほのぼのとした不思議な読み心地で多くの読者を魅了しています。
- 「これは友達から聞いた話なんだけどね」人外の隣人と過ごす、不思議な日常ホラー
あらすじなど
物語の主人公は、実母のせいで貯金も住処も失った青年・タカヒロ。
死さえ覚悟していた彼が出会ったのは、一枚の求人広告でした。
「今すぐ人生がどうにかなってもいい人募集中! 月給十五万〜 ※住み込み必須」
住み込みでマンションの一室を管理する仕事。
雇用の条件はただ一つ、『隣人と必ず仲良くすること』。
他に行き場のないタカヒロは、その条件を受け入れマンションに流れ着きます。
しかし、待っていたのは明らかに人間ではない「隣人」でした。
黒く爛れた6本指。
環状に開く口の中に長い舌。
ベランダの衝立越しに話しかけてくる、明らかに異形の存在。
「これは友達から聞いた話なんだけどね」
毎日隣人が語る『怪談』は、架空の、現実には起きていない話。
そのはずだったのですが――。
聞いた話ではこれまでに23人が逃げ出したという、この部屋。
タカヒロは返答一つ間違えられない緊迫感の中、ベランダ越しに怪談好きの隣人と過ごすことになります。
本作のタイトルにある「入居条件」という言葉が示すように、この物語は特殊な環境での共同生活を描いたものです。
怪異との「友人関係」を維持することが、タカヒロの生活の基盤となっているのです。
日常に侵食する恐怖の描写
ホラーでありながら、優しさを感じる不思議な作品
本作の最大の魅力は、「怖いけど怖くない」という絶妙なバランスにあります。
怪異が登場し、不気味な現象が起こり、確かにホラーとしての恐怖はあります。
しかし同時に、隣人との会話にはどこか温かみがあり、ほのぼのとした雰囲気さえ漂います。
従来のホラー作品とは一線を画す、独特の読み心地です。
じわじわと迫る「日常侵食」の恐怖
「日常侵食ホラー」というジャンルが示すように、本作の恐怖は突然襲ってくるものではありません。
705号室の異変や、人型に盛り上がる自室のベッドなど、日常の中に少しずつ非日常が混ざり込んでいきます。
気づいたときには、もう境界線が曖昧になっている。
その静かに忍び寄る恐怖が、読者の心を掴んで離しません。
架空のはずの怪談の内容が、次第にタカヒロの日常に影響を及ぼしていく展開は、読者を引き込む巧みな構成となっています。
カクヨム発・話題沸騰の作品
web連載から書籍化へ
『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』は、カクヨムや小説家になろうなどweb上で連載されていた作品です。
web版に加筆修正を施し、2024年10月7日に寝舟はやせさんのデビュー作として書籍化されました。
本作は多くの読者の支持を集め、カクヨムでは累計2,712の★を獲得し、6,689人のフォロワーを持つ人気作品となっています。
続々と展開されるメディアミックス
書籍化に続き、2025年8月14日からはコミカライズも開始。
赤色マッシュさんによる漫画版が、カドコミやpixivコミック、ニコニコ漫画で公開されています。
さらに2025年11月29日には待望の第2巻が発売され、物語は新たな展開を迎えています。
第2巻にも書き下ろしの話が収録されており、ファンの期待に応える内容となっています。
寝舟はやせさんという作家
web発デビューの新進作家
寝舟はやせさんは、『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』をカクヨムや小説家になろうなどweb上で連載し、本作でデビューした作家です。
装画を担当しているのは、ギギギガガガさん。
その独特な世界観を視覚的に表現しています。
X(旧Twitter)では「藍槌ゆず/寝舟はやせ」の名前で活動しており、自身の作品について「自分が好きなものを書いています。好きになってもらえたらとても嬉しい」と語っています。
こんな方におすすめと語る作者
寝舟さん自身が、本作を以下のような方におすすめしています。
創作怪談が好きな方。
人外と仲良くしている人間の物語が好きな方。
可愛げのある怪異が好きな方。
そして、言葉は通じるけれども結局価値観は化け物な怪異が好きな方。
このコメントからも分かるように、本作の「隣人」は単なる恐怖の対象ではなく、独特の魅力を持ったキャラクターとして描かれています。
作品の構成と読みどころ
隣人が語る怪談の数々

本作の特徴的な構成として、隣人が語る様々な怪談があります。
「これは友達から聞いた話なんだけどね」という決まり文句から始まる怪談。
それぞれが独立した短編のようでありながら、全体として一つの大きな物語を形作っています。
怪談自体のクオリティも高く、シュールさと恐怖が絶妙に混ざり合った内容となっています。
タカヒロと隣人の関係性
追い詰められた人生の中で、異形の隣人と出会ったタカヒロ。
最初は恐怖を感じながらも、次第に「友人」として関係を築いていく過程が丁寧に描かれています。
人間と怪異という、本来交わるはずのない二者の交流。
そこには、孤独だった二人が少しずつ歩み寄っていく姿があります。
毎日ベランダ越しに交わされる会話には、不思議な温かさが宿っています。
徐々に明らかになる真相
物語が進むにつれ、マンションの謎や隣人の正体、そしてタカヒロ自身が抱える事情が少しずつ明らかになっていきます。
すべてが一度に解決するわけではなく、読者に想像の余地を残す構成も本作の魅力です。
読み終わった後の余韻
ホラーを超えた人間ドラマ
本作はホラー作品でありながら、同時に深い人間ドラマでもあります。
家族の問題、孤独、生きる意味。
そうした普遍的なテーマが、怪異との交流を通して描かれています。
読み終わった後、恐怖よりも温かさが心に残る。
そんな不思議な読後感が、本作の大きな特徴です。
続きが気になる展開
第2巻も発売され、物語はまだ続いています。
カクヨムや小説家になろうでも連載が継続されており、タカヒロと隣人の関係がどう発展していくのか。
マンションに隠された謎は何なのか。
多くの読者が続きを心待ちにしています。
こんな人に特に読んでほしい
ホラーが少し苦手な人にも
「ホラーは怖くて苦手」という方にこそ、本作をおすすめしたいです。
確かに怖い要素はありますが、それ以上に心温まる要素があり、読後感は決して悪くありません。
ホラー入門としても最適な作品と言えるでしょう。
人外×人間の関係性が好きな人
人間ではない存在と人間の交流を描いた作品が好きな方には、まさにぴったりです。
隣人は明らかに異形でありながら、話し好きで友達を求めている。
そのギャップが生み出す独特の魅力に、多くの読者が惹きつけられています。
創作怪談が好きな人
作中で隣人が語る怪談は、それぞれが短編として完成度が高いものばかり。
創作怪談のファンなら、その一つ一つを味わう楽しみがあります。
さらに、それらの怪談が物語全体とどう繋がっていくのかという仕掛けも見事です。
切なくて温かい物語が好きな人
本作には、孤独な者同士が支え合う姿が描かれています。
人間社会から弾かれたタカヒロと、人間ではない隣人。
二人の関係には、切なさと温かさが同居しています。
そうした繊細な感情の描写に心を動かされる方には、強くおすすめできる作品です。
注意点など
ホラー要素はしっかりとある
温かい雰囲気があると言っても、ホラー作品であることに変わりはありません。
異形の描写や不気味な現象は確かに存在します。
極度にホラーが苦手な方は、その点を理解した上で手に取ることをおすすめします。
すべての謎が解決するわけではない
本作は、すべての疑問に明確な答えを出す作品ではありません。
読者の想像に委ねられる部分も多く、「全部スッキリ解決してほしい」と思う方には物足りなく感じられるかもしれません。
逆に言えば、余韻を楽しめる作品とも言えます。
重いテーマも含まれている
タカヒロが追い詰められた背景には、家族の問題など重いテーマも含まれています。
そうした要素に敏感な時期にある方は、読むタイミングを選んだ方が良いかもしれません。
おわりに:孤独と友情の物語
『入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください』は、カクヨム発の日常侵食ホラーとして、多くの読者の心を掴んできた作品です。
2024年10月に寝舟はやせさんのデビュー作として書籍化され、2025年11月には第2巻も発売。
コミカライズも開始され、ますます注目を集めています。
異形の隣人との奇妙な共同生活。
毎日語られる不気味な怪談。
そして少しずつ明らかになる真相。
ホラー作品でありながら、人と人(?)との繋がりを温かく描いた本作は、読み終わった後も長く心に残ります。
「これは友達から聞いた話なんだけどね」という隣人の言葉から始まる物語は、孤独だった二人が「友人」として歩み寄っていく物語でもあるのです。
怖いけど怖くない。
優しくて切ない。
そんな不思議な読書体験を、ぜひ味わってみてください。
カクヨムや小説家になろうでの連載も継続中なので、書籍版を読んだ後は、web版で続きを追いかけることもできます。
タカヒロと隣人の物語は、まだまだ続いていきます。
この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。
おわり
ジャケドロ661
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