パンと日常と、ほんの少しの謎を楽しむ連作ミステリー
第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『謎の香りはパン屋から』(土屋うさぎ さん著)。 パン屋を舞台にした、ほっこり優しい連作短編ミステリーです。
“ミステリー”といっても、血なまぐさい事件ではなく、日常の中にあるささやかな「違和感」にスポットを当てた、優しい物語です。
「日常系ミステリーが好き」
「パンが好き」
「読後感がよくて、温かい気持ちになれる本を探している」
そんな方にぴったりの一冊です!
『謎の香りはパン屋から』ってどんな本?
物語の舞台は大阪・豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉。 ここでアルバイトをしている大学生・市倉小春が、日々のささやかな謎を解き明かしていく、連作短編集になっています。
章ごとに登場するのは、クロワッサン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパンなど、どれも美味しそうなパンばかり! パンが香るたびに、人の記憶や感情がゆっくりとほどけていく感覚に癒されます。
どんな謎があるの?
たとえば――
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親友にドタキャンされた理由に潜む、予想外の「真相」
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パン屋に届いた謎の手紙の差出人
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「懐かしいカレーパン」がもたらす、意外な家族の秘密
どれも大事件ではないけれど、「なんで?」と心にひっかかる“日常のほころび”に、主人公・小春が静かに向き合います。
読者も一緒に考えながらページをめくる、そんな知的でやさしい謎解きが楽しめます。
文章も非常に読みやすく、会話のテンポや空気感もリアルで自然。
日常のなかにある「ちょっと気になる違和感」をていねいにすくい取ってくれる作品となっています。
『謎の香りはパン屋から』の魅力を深掘り!
1. 主人公・小春のキャラクターが魅力的
大学生でありながら、人の話をよく聞き、押しつけがましくなく物事を読み解く姿がとても好感。
過剰なキャラ付けがないからこそ、読者が感情移入しやすいのもポイントです。
2. 豊中のパン屋という舞台設定
都会すぎず、田舎すぎず。 関西らしいあたたかさと、地域の空気感がパン屋という空間によくマッチしていて、作品全体がほんわかと包まれている印象です。
パン屋の描写もとても丁寧で、読んでいると本当にパンの香りが漂ってきそう!
3. 小さな謎と人間ドラマのバランス
謎解きはあくまで日常の中の一部。
人と人とのすれ違いや、家族との距離感、過去の後悔など、感情の流れにしっかり寄り添って描かれていて、読み終えた後の満足度がとても高いです。
こんな人におすすめ!
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パンやカフェの雰囲気が好きな人
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人間関係の機微を描いたミステリーが好きな人
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気軽に読める連作短編集を探している人
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忙しくても“短時間でいい読書体験”がしたい人
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やさしいストーリーで気持ちをリセットしたい人
日々、仕事や家事に追われているあなたにこそおすすめしたい一冊。
とくにリラックスタイムに読むと、じんわりと癒されるはずです。
おわりに|“謎”と“パン”の香りが紡ぐ、あたたかな読書体験
『謎の香りはパン屋から』は、パンの香ばしさと心温まる謎解きが融合した、やさしい物語。
知的な刺激と感情のゆらぎが、絶妙なバランスで味わえる良作です。
物語の中に入り込んで、焼きたてのパンとほんの少しの謎に包まれてみませんか?
心がふっと軽くなる、そんな読書体験が待っています。
このミステリーがすごい!大賞の作品選びのセンスも感じられる
とても読みやすい内容となっています!
おわり
ジャケドロ661