唯一無二のヒロインに心を撃ち抜かれる!
※本記事には作品紹介を含みますが、ネタバレは極力控えています。
「私、天下取るんで」
こんな堂々たる宣言から始まるのが、宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)です。
舞台は滋賀県大津市。
中学二年生の成瀬あかりは、独特な感性とズレた行動力で、周囲を巻き込みながらもひたすらまっすぐに生きていきます。
彼女の一挙手一投足が、時に笑いを誘い、時に胸を締めつける。そんな、優しさと可笑しみがあふれる物語です。
あらすじと見どころ
物語の中心となるのは、成瀬あかりという一人の中学生。
周りの空気を読むことも、誰かに合わせることもせず、自分の「信じたこと」を貫く彼女の姿が、ひたすら眩しく映ります。
成瀬はテレビ出演に挑戦したり、演劇で主演を張ったり、果ては「ご当地アイドル」になろうとしたりと、破天荒なチャレンジを続けます。
でもその行動は決して自己顕示ではなく、「今をちゃんと生きたい」という純粋な思いから。
日常のささやかな奇跡を描きながら、読む者に大切なものを思い出させてくれる小説です。
『成瀬は天下を取りにいく』のおすすめポイント
唯一無二のヒロイン、成瀬あかり
成瀬は、型にはまらない、でも押し付けがましくない。
ただひたむきに「自分でいること」を大切にしていて、その真っ直ぐさにハッとさせられます。
見栄を張るでもなく、かといって卑屈にもならない、まさに新しい時代のヒロイン像です。
笑って泣ける絶妙なバランス
一見コミカルなエピソードの裏に、ふと寂しさや切なさが漂う。
クスッと笑った直後に、じんわり胸が熱くなるような場面がたくさん散りばめられています。
この温かくもほろ苦い読後感は、きっと忘れられないはず。
地元愛にあふれた舞台設定
滋賀・大津という地方都市が舞台。
琵琶湖の広がる風景や、地元に根付く文化が丁寧に描かれていて、土地に対する愛情が伝わってきます。
地方出身の方なら、わかっていただける描写が多数あります。
実際に読んでた読後の感想
読み終えたとき、久しぶりに胸が熱くなった。
主人公のまっすぐさは、今の世の中では少し不器用かもしれないでしょう。
でも、不器用だからこそ尊いと思えました。
彼女の突拍子もない行動に笑いながらも、ふとした瞬間にじんわり涙ぐんでしまう。
大人になるとつい忘れてしまう、純粋さや勇気を成瀬は思い出させてくれる
今いる場所を少しでも肯定できるような、そんな力をもらえる一冊です!
同作者のおすすめ作品
『成瀬は天下を取りにいく』が気に入った方には、
宮島未奈さんの『成瀬は信じた道をいく』もおすすめです!
本作の続編となる短編集で、さらに成瀬の「その後」を描きます。
変わらぬ成瀬のブレなさに、また勇気づけられること間違いなし。
成瀬ファンなら必読です!
こんな人におすすめ!
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自分らしく生きることに憧れる人
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前向きなエネルギーをもらいたい人
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地方都市の空気感が好きな人
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笑って泣ける青春小説を探している人
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新しいタイプのヒロインに出会いたい人
『成瀬は天下を取りにいく』は、ただの青春小説じゃありません。
読めば、きっとあなたの中にも「天下を取りにいこう」とする小さな勇気が芽生えるはずです。
成瀬あかりのまっすぐな生き方は、「誰かに合わせること」が当たり前になりがちな今の時代に、強烈な光を放っています。
それは決して押しつけがましいものではなく、あくまで自然体。
だからこそ、読む人それぞれが自分の弱さや願いにそっと向き合えるのです。
仕事に悩んでいるとき
家庭や子育てに疲れたとき
なんとなく元気が出ないとき――
どんなタイミングでも、成瀬の一言や行動が心に響き、背中を押してくれるはず。
自分らしさを取り戻したいすべての女性に、心からおすすめしたい一冊です。
おわりに
天下を取るとは、大きな成功をおさめることだけではありません。
自分を信じて、一歩踏み出す勇気を持つこと。
成瀬あかりは、その大切さを、静かに、でも確かに教えてくれます。
あなたもきっと、自分だけの「天下」を取りに行きたくなるはずです!
ぜひ一度、この物語に飛び込んでみてください!
おわり
ジャケドロ661