道尾秀介さんの『N』は、読む順番によって物語の印象が変わるという、斬新な構成のミステリー小説です。
全6章から成る本作は、各章が独立した物語でありながら、互いに密接に関連しています。
読者は自らの選択で章の順番を決めることで、720通りの異なる物語を体験することができます。
このユニークな構成が、読者に新たな体験を提供してくれます!
短編集の重なりですが、実はそんな単純な作品ではなく
新しい小説の形として楽しめる作品です。
目次
あらすじと見どころ
本作には、以下のような多彩な物語が収められています。
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「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師の物語
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「死んでくれない?」と話す鳥の謎を追う高校生の物語
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定年を迎えた英語教師が知る、少女殺害事件の真相
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殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者との物語
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ターミナルケアを通じて奇跡を見た看護師の体験
これらの物語は、一見独立しているようでいて、実は巧妙にリンクしています。
各章をどの順番で読むかによって、登場人物の印象や物語の解釈が変わり、読者自身が物語を再構築する楽しみを味わえます。
『N』のおすすめポイント
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読む順番で変わる物語体験
本作最大の特徴は、章の順番を自由に選べることです。その結果、720通りの異なる物語が生まれ、読者は自らの選択で物語の展開や印象を変えることができます。 -
多様なジャンルの融合
各章はミステリー、ヒューマンドラマ、サスペンスなど、異なるジャンルの要素を持ち合わせています。これにより、読者はさまざまな物語の魅力を一冊で堪能できます。 -
巧妙なリンクと伏線
一見無関係に思える物語が、実は細部で繋がっており、読み進めるうちにその関連性が明らかになります。この構成により、読者は物語の奥深さと作者の巧みな筆致を感じることができます。
同作者のおすすめ作品
『N』を楽しめた方には、道尾秀介さんの以下の作品もおすすめです!
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『向日葵の咲かない夏』
失踪した同級生を探す少年の物語で、現実と幻想が交錯するミステリー。 -
『カラスの親指』
詐欺師たちの人間模様を描いた、ユーモアと感動が詰まった作品。
これらの作品も、道尾秀介さんならではの緻密な構成と深い人間描写が魅力です。ぜひ手に取ってみてください!
おわりに
『N』は、読むたびに新たな発見がある、まさに読者参加型の小説です。
物語の順番を変えることで、異なる視点や感情を味わうことができるこの作品は、読書の楽しさを再認識させてくれます。
実際に読んでみるとわかりますが、物語の構成の巧妙さに驚かされます。
各章が独立していながらも、読み進めるうちに登場人物や出来事が繋がっていく様子は、まるでパズルを解いているかのような感覚でした。
特に、章の順番を変えることで物語の印象が大きく変わる点が新鮮で、何度も読み返したくなる作品です。
道尾秀介さんの作品の中でも、特に実験的でありながら完成度の高い一冊だと感じました。
ぜひ、道尾秀介さんの『N』で、自分だけの物語を見つけてみてください!
おわり
ジャケドロ661
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