※本記事には作品のあらすじの紹介と、多少のネタバレを含みます。
ミステリー好きなら見逃せない、そして普段あまり小説を読まない人にもぜひ手に取ってほしい一冊。
道尾秀介さんの『いけない』(文藝春秋)は、読み進めるたびに「えっ、そういうこと?」と驚かされる、知的好奇心をくすぐる作品です。
一見バラバラな短編たちが、最後に一つの大きな真実へと収束していく構成は、まるでパズルを完成させていくような快感。
読者だからこそ感じ取れる心理描写の妙や、人間関係の機微も深く味わえる、まさに“大人のためのミステリー”と言えるでしょう。
こちらの作品は2025年4月30日現在、Amazonプライム会員は無料で読める作品となっています。
月額料金で読むことが出来るのでオススメです!
あらすじと見どころ
本作は
「弓投げの崖を見てはいけない」
「その話を聞かせてはいけない」
「絵の謎に気づいてはいけない」
「街の平和を信じてはいけない」
の、4章からなる連作短編集。
それぞれ独立した物語のようでいて、最終章で全てが一本に繋がる構成が秀逸です。
たとえば、第1章では崖で発生した交通事故が、実は殺人だった可能性を示唆されながら進行。
そして章末の写真によって、それまでの印象がガラリと変わります。
読みながら「そういうことだったのか!」と何度も膝を打つ構成は、作品にじっくりと浸れる贅沢な体験になるはず。
『いけない』のおすすめポイント
最大の魅力は、道尾秀介さんならではの“トリック”と“多層的な構成”の融合。
一見、別々の物語のように見える各章が、最終的に全て繋がり、一つの「大きな嘘と真実」が浮かび上がってくる過程は圧巻です。
また、章末の写真が仕掛けとして挿入されているという斬新なスタイルも話題に。
映像的な印象と、視覚情報の“反則技”をどう物語に活かすかという点でも、非常にユニークな作品です。
スマホやSNSで気軽に情報が手に入る今の時代だからこそ、「自分で読み取り、考える楽しさ」を再確認できる1冊。
読者には、日常から少し離れて“騙される快感”をじっくり楽しんでほしいと思います。
実際に読んだ感想
章末の写真でガツンと真相を突きつけられる読書体験は初めてでした!
読んだ直後に思わず最初のページに戻って、再確認したくなります。
一つひとつの短編としても面白いけれど、ラストで全てが回収される展開には鳥肌が立った。
心理描写や人物の動機に深みがあって、ミステリー好きはもちろん、普段小説をあまり読まない人にもおすすめしたいです。
とくに「短編+連作+どんでん返し」という構成は、読みやすく、かつ満足度が非常に高いと思います。
短めのストーリー構成とどんでん返しな作品は、読書に普段馴染がない方にもオススメしたい構成です!
同作者のおすすめ作品
『いけない』が気に入った方には、以下の道尾作品もおすすめです!
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『向日葵の咲かない夏』 小学生の“僕”が、失踪した同級生の謎を追う異色のミステリー。大人の世界の暗さと、子ども視点の純粋さが交錯する一冊。
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『カラスの親指』 詐欺師たちが人生を賭けたリベンジに挑む、ユーモアと感動の長編小説。
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『N』 多視点で語られる事件の真相を、読者が自分で紐解いていく群像劇的サスペンス。
どれも、心の闇や人間関係の綾を繊細に描きながら、「読者を騙し、驚かせる」道尾マジックが詰まっています。
こんな人におすすめ
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短編形式でテンポよく読めるミステリーを探している人
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読後に驚きや再読欲が湧く作品が好きな人
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一冊で“だまし絵のような構成美”を味わいたい人
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サスペンスに心理描写や人間ドラマも求める人
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道尾秀介作品をこれから読んでみたい人
『いけない』は、読むたびに新たな視点と発見が生まれる作品です。
おわりに
『いけない』は、単なる短編集にとどまらず、読者の先入観や読解力までも試されるような、知的スリルに満ちた作品です。
各章を読み進めるたびに感じる違和感と、それが最終的に一つの真実に繋がっていくカタルシス――
その体験はまさに読書の醍醐味そのもの。
トリックや構成の妙だけでなく、日常に潜む不穏さや人の心の脆さといった、道尾秀介さんならではの深みあるテーマも存分に堪能できます。
忙しい日々の合間でも手軽に読める短編構成ながら、その満足度は長編にも劣りません。読後はきっと、もう一度最初から読み返したくなることでしょう。
「驚きたい」「騙されたい」「考えさせられたい」――そんな読書体験を求めている方に、『いけない』は自信をもっておすすめできる一冊です。
Amazonプライム会員になって、ぜひ追加費用のかからない期間に読んでいただきたい作品です!
おわり
ジャケドロ661