
「知りたい気持ちは、止められない」大学生・栗原が辿る真実の旅
謎を解明したいという探究心と、それが引き起こす悲劇。
建築学を志す青年として、人として、何が真実なのか。
YouTuberとしても活躍し、「変な」シリーズで人気を博す雨穴さんが、探求心と記憶をテーマに描いた感動作。
雨穴さんの『変な地図』は、2024年書籍売り上げ1位を獲得した『変な家』シリーズの最新作です。
あの人気キャラクター・栗原さんが主人公として登場し、大学生時代の彼の旅路を描いています。
正体不明の古地図と祖母の不審死という謎を追う、ホラー・ミステリー・青春が融合した作品です。
あらすじなど
物語の主人公は、建築学を学ぶ大学生・栗原文宣。
母の影響で建築の道に進んだ栗原でしたが、母の話をすると呼吸ができなくなるという謎の発作を抱えています。
ある日、就職活動の面接で「なぜ建築を学ぼうと思ったか」という質問に答えるため、栗原は自分自身と向き合うことを迫られます。
そんな折、父から奇妙な事実を告げられました。
栗原が生まれる前年、母方の祖母・知嘉子が一枚の古地図を握りしめたまま不審死を遂げていたというのです。
祖母の家を訪れた栗原は、本棚の裏に隠されていた「変な地図」を発見します。
その地図には、7体の妖怪が描かれていました。
「母の無念を晴らせば、何かが変わるかもしれない」
栗原は真相を見つけるべく、遥か遠くの地へ旅立ちます。
そこで待ち受けていたのは、海沿いの廃集落、不可解な人身事故、潰れかけの民宿、因縁に満ちたトンネル。
そして、古地図に秘められた悲しき事実でした。
祖母はなぜ死んだのか。
7体の妖怪の正体は何なのか。
母が追い続けた謎とは。
タイトルにある「地図」という言葉が示すように、これは記録すること、生きた証を残すことの意味を問いかける物語となっています。
「変な」シリーズの集大成
シリーズ最新作として
『変な地図』は、2020年にYouTubeで公開され、2021年に書籍化された『変な家』、2023年12月に刊行された『変な家2 ~11の間取り図~』、そして『変な絵』に続く「変な」シリーズの最新作です。
これまでのシリーズでは、間取り図や絵画をモチーフに不可解な謎を描いてきましたが、今回は「地図」という空間的な記録を使い、より壮大なスケールで物語が展開されます。
本作は単独でも十分に楽しめる内容となっていますが、シリーズファンにとっては、あの栗原さんの過去が明かされる特別な一冊となっています。
栗原文宣という魅力的な主人公
「変な家」「変な家2」「変な絵」に登場してきた設計士・栗原さん。
彼のフルネームが「栗原文宣」であることが本作で明かされます。
建築に豊富な知識を持ち、オカルトやミステリーを愛好する栗原さんが、どのような経緯で建築の道に進んだのか。
彼の原点となる大学時代の物語が、ついに描かれました。
雨穴さんのキャリアの中で
雨穴さんは、インターネットを中心に活動するホラー作家です。
YouTuberとしても活動し、「変な家」の動画は1000万回以上再生されるなど、大きな反響を呼びました。
『変な家』は2023年に最も売れた小説となり、2024年3月には間宮祥太朗さんと佐藤二朗さん主演で映画化され、興行収入50億円を超える大ヒットとなりました。
本作『変な地図』は、「変な」シリーズの集大成として注目を集めています。
作品の構成と読みどころ
複雑に絡み合う二つの事件
本作では、栗原の祖母の死の謎と、もう一つの不可解な人身事故という二つの事件が描かれます。
一見無関係に思える出来事が、次第に繋がりを見せていく展開は、読者を引き込む魅力に溢れています。
廃集落に隠された過去、鉄道会社を巡る権力闘争、そして家族の秘密。
多層的な物語構造が、最後に一つの真実へと収束していきます。
247点の地図と図版
本作の大きな特徴は、雨穴さん自身が制作した史上最多247点もの地図や図版が収録されていることです。
文字だけでは理解しにくい複雑なトリックや構造を、視覚的に分かりやすく説明しています。
「文字を読むのが難しいと感じる若者たちにも、パズルのように楽しめるように」という作者の配慮が随所に感じられます。
この「マンガ小説的作風」により、分厚い本でありながら非常にテンポよく読み進められます。
対談形式で読みやすい
本作は対談形式やセリフを中心に進行するため、小説を読み慣れていない方でもスラスラと読めるのが魅力です。
かったるい地の文が入らず、テンポがよいため、謎解きの面白さに集中できます。
違和感や伏線もしっかり回収され、すっきりと綺麗に解説されるのも「変な」シリーズの良いところです。
読み終わった後の問いかけ
「知りたい気持ち」の光と影
本作のテーマの一つは、「知りたい気持ちは、止められない」という人間の根源的な欲求です。
栗原の母は、「なんで?」「どうして?」という気持ちが研究を突き動かすと語っていました。
探求心は素晴らしいものですが、時として知らない方が良かった真実もあります。
真実を知ることで救われることもあれば、絶望することもある。
読者に、知ることの意味を深く考えさせる作品となっています。
記録することの意味
地図を描くこと、記録を残すことは、生きた証を残すことでもあります。
栗原の祖母が残した地図には、彼女の人生そのものが刻まれていました。
失われていく記憶や歴史を、どのように後世に伝えるのか。
本作は、記録という行為の重さと尊さを問いかけています。
こんな人に特に読んでほしい

「変な」シリーズのファン
『変な家』『変な絵』を愛読してきた方には、待望の栗原さん主人公作品として必読の一冊です。
彼の人柄や過去が明かされ、シリーズをより深く楽しめる内容となっています。
ミステリー・ホラー好きの方
複雑なトリック、不気味な雰囲気、そして緻密に張り巡らされた伏線。
ミステリーやホラーが好きな方にとって、大満足の内容です。
謎解きを楽しみながら、背筋がゾクッとする体験ができます。
小説を読むのが苦手な方
図版が豊富で、対談形式で進むため、小説を読み慣れていない方でも楽しめます。
「普段小説は読まないけど、これは一気に読めた」という感想も多く見られます。
視覚的に楽しめる要素が多いため、気軽に手に取ることができる作品です。
謎解きが好きな方
物語を読み進める中で、自分でも推理を楽しめる構成になっています。
「もしかしてこういうこと?」と気づく瞬間の快感を味わえます。
答えのない宿題のように謎を残すことなく、すっきりと解明されるのも魅力です。
注意点など
重いテーマを含む
家族の死や、過去の悲惨な出来事など、決して軽くないテーマが含まれています。
ただし、読後感は比較的明るく、雨穴作品の中では珍しく暗い気持ちにならない物語となっています。
ホラー要素について
ホラーやミステリーの要素はありますが、極端に怖い描写があるわけではありません。
不気味さや違和感を楽しむタイプの作品です。
ホラーが苦手な方でも、比較的読みやすい内容となっています。
ボリュームがある
416ページと分厚い本ですが、図版が多く、テンポが良いため、思ったよりも早く読み終えられます。
一気読みしてしまったという感想も多く見られます。
おわりに:謎を追うすべての人へ
『変な地図』は、「変な家」「変な絵」に続く雨穴さんの「変な」シリーズの集大成として、2025年10月31日に刊行されました。
2024年書籍売り上げ1位という快挙を成し遂げた雨穴さんが、満を持して送り出した最新作です。
間取り図、絵画、そして地図。
さまざまな「記録」をモチーフに、人間の知りたいという欲求と、それが引き起こす光と影を描いてきた雨穴さん。
本作では、あの人気キャラクター・栗原さんの過去が明かされ、シリーズファンにとっては特別な意味を持つ作品となっています。
「知りたい気持ちは、止められない」
この言葉が示すように、真実を追い求める人間の姿が、丁寧に描かれています。
探求心は人を成長させる一方で、時として残酷な真実を突きつけることもあります。
それでも人は、知ろうとする。
記録し、残そうとする。
247点もの地図と図版を駆使した視覚的な楽しさ、対談形式で読みやすい文体、そして複雑に絡み合う謎が最後に収束する快感。
ホラー、ミステリー、サスペンス、青春、恋愛と、あらゆる要素が詰め込まれた本作は、小説好きもそうでない人も楽しめる、まさに「異形の王道小説」です。
栗原さんの旅に同行しながら、あなたも古地図の謎を解き明かしてみませんか。
読み終わった後、きっとあなたの中にも、ひとつの「地図」が浮かび上がるはずです。
この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。
おわり
ジャケドロ661
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