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【ネタバレあり】コンビニ人間を読んだ感想

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第155回芥川賞を受賞した「コンビニ人間」

この記事は、ミステリーかファンタジーのジャンルを読むことを好むワタシが読んだ感想となります。

 

芥川賞受賞作なので、ジャンルは純文学だと思うのですが、読みづらいかと言われたらそうでもなく、終わり方も読み手の考え方一つで印象が変わる終わり方でした。

考えさせられることはありますが、読み物としては非常に読みやすかったです!

 

気になった所をピックアップして

ネタバレと自分の気持ちを含めた内容にしています。

 

以下、ネタバレを含む感想です。

コンビニ人間 (文春文庫) Kindle版

 

あらすじはこちらに↓

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目次

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・妙に人間らしい主人公

すごく親近感の湧くというか、生々しい人間味のある主人公です。

誰かモデルがいるのではないかな?っと思います。

→調べたら、作者の村田沙耶香さんの経験談から作られた作品だったようです。

 

なるほど。

 

これは血の通った経験談だ。

村田さんが実際に経験したことや、人から聞いた話がベースなのだろうなと。

それをフィクションにして、作成したという形でしょうか。

 

コンビニエンスストアでの描写などが、かなり細かく表現されていて

一度も働いたことがないワタシが読んでも、自分がコンビニの店員になっているかのような感覚がしました。

 

品出しや売りたい商品の選定、温度によって売れ行きが変わるので棚の並び替えなど、

経験していないとわからないことが多いですね。

元々覚えることが多いのだろうなと思っていた職種でしたが、改めてコンビニの店員さんって凄いなと思いました。

 

凄い。

 

そんな感想さえ覚えさせられる「コンビニ人間」という作品。

 

凄い。

 

・主人公の発言がちょくちょく面白い

 

「いらっしゃいませ!」っという自分の声で夜中に起きたこともある。

 

こういう感じのフレーズが、ちょくちょくあってとても面白いです。

仕事をしていたら共感出来る部分だなっと思いました。

 

この「いらっしゃいませ!」は職業病の一種だと思います。

わかります。

ワタシも夢の中でよく商売してました・・・

 

節々で共感できる部分があるので、ぜひ読んでクスっと笑ってほしいです。

あっ、純文学って笑っていい作品なんだろうか・・・

 

・音という単語を強調してくる

生活の中の音を、作品の中で度々表現されています。

特にコンビニの音は細かく丁寧に表現され、また主人公はそれを気に入っているようです。

ストーリーの最終部分では、自分がコンビニの一部である、一部じゃないといけないんだ!って思って、就活をやめてエンディングを迎えます。

主人公がそう思うキッカケとなったのは

やはり「コンビニの音」でした。

 

音の表現を通じて、人間の五感を作品に重ねて読み進めることが出来るのが

この作品のとても素晴らしい所です。

五感を感じながら読める作品って中々無いのではないでしょうか?

またこれを映像化すると、表現のやり方がとても大事な気がしますね。

 

・所々主人公の考え方から、恐怖を感じる

泣いている赤ん坊をあやす妹の姿に、ケーキを取り分ける小さなナイフを見ながら、静かにさせるだけでいいならとても簡単なのに大変だなぁっというシーン。

 

「うわぁ、そういう風に考えるのかぁ!!」っと恐怖を覚えながら、合理的な解釈だと思いました。

 

主人公の古倉恵子は、子供の頃から周りと視点が違う感覚を持つ人でした。

 

公園で小鳥が死んでいると、かわいそうではなく、これ食べようと言い

ケンカを仲裁するために、スコップで頭を殴ってケンカを止めたり

教室でヒステリーに叫ぶ女性の先生を止めるために、スカートとパンツを勢いよくおろす。

 

人間は感情と倫理観で、それはやってはいけないと思える部分がある。

その部分は無く、主人公は感情と倫理観無しに、非常に合理的に行動しています。

 

また悪いことをしているという感覚がないので

自分が家族に迷惑をかけているという感覚もない。

それも主人公からしたら当然だと思う。おかしくもない。

 

最終的にはマニュアル化人間として生きていく。

人生をマニュアル化。感情など必要が無いと思うほどに。

 

こういう人にワタシ自身が人生で出会ったことがないので、読みながら恐怖を感じました。

 

当たり前が当たり前ではない、シンプルな考え方。

かといって、家族に迷惑はかけたくはないという考えを持っている。

その答えがマニュアル化。

 

ワタシがもし付き合うなら、どうやって接していいものか。

結構深く考えながら読み進めていきました。

ここの考え方によって、この作品のエンディングの迎え方に読み手側それぞれの解釈が出てくることでしょう!

 

・自分を演じているが感情はちゃんとある

主人公は、自分をマニュアル化することによって、

世間に馴染んでいきます(馴染もうとします)が人間としての感情はキチンともっていますね。

イライラしたりもするし、やさしさもある。

一見マニュアル化人間には見えないんですけど、やはり自分に指示してくれ!っという考え方は変わらないようです。

年齢を重ねても、変えられないことはあります。

むしろ幼少期のエピソードから考えると、成長しているとも思えますけどね。

 

主人公が少しですが、成長していく姿が見れるのも良いところです。

 

・急展開にびっくりした

急展開にびっくりしたが、自分をマニュアル化するとそんな関係もあるのかなと考えさせられた。

お互いがお互いのことを、部分的に必要としている。かなり合理的である。

 

コンビニ店員として雇われたが、程なくして仕事をクビになった「白羽」と同棲するとは思いもしませんでした。

しかもクビになった理由もクズみたいな内容でしたし。

しかし、お互いが部分的に必要としていたことによって、同棲するという選択肢が生まれた。

おお・・・なるほど・・・そうきたか」って思ったのが正直な感想です。

白羽はただの脇役だと思っていたので、そこと絡むのか!!ってなりました。

ストーリーの中盤以降に急展開となるので、読んでいた側もある程度は主人公に思いれが湧いていた所に、ズドン!って感じの展開でした。

 

同棲するにしても、お互いの性格が絡み合って、異常な光景となっていますが

そこはお楽しみということであえて伏せておきます。

風呂に座布団ってね・・・どうなのそれ・・・

 

・映画化するなら、主人公は誰にしよう

この作品、映像化するのめちゃくちゃ難しそうです。

ワタシが勝手に監督になってキャストを考えてみたのですが

主人公選べなくないですか!?このキャラクターを演じたい人いるのかな?

 

また作品の随所に出てくる人間の五感を映像で表現することが難しいと思います。

聴覚視覚など、本だから表現出来る細かい内容が散りばめられています。

 

結果、映像化はしないほうがいいなと思いました!

 

調べてみるとラジオドラマとしては作品化されていました。

主人公を栗山千明さんが演じられていましたね。

ラジオなら聴覚だから、良かったのかな?どうだろう。

気になるところです。

 

個人的にはそれだけ内容が濃いく、深い内容の作品だと思います。

ページ数は多くないのですが、内容が濃ゆいです。

 

・終わり方をどのように捉えるか。読んだ人の感性次第か

エンディングの迎え方はどうでしょう。良かったのか悪かったのか。

個人的には良かったと思います。

結果的に、自分のやりたいことが見つけられた主人公でした。

 

結局コンビニかよ!って思う人もいるかもしれませんね。

結婚は?正社員は?老後どうするんだ?妹との今後のやり取りは?

 

主人公の社会的身分としての今後はあまり良くないのかもしれませんが

自分がやりたいことが、急展開を含めてわかったのが

一番良かったのでは無いかと思います。

 

自分を見つめ直す時間が、誰にも必要である。

そういうメッセージも含んでいるのではないかと、ワタシは解釈しました。

 

レールの敷かれた人生

一緒にいたくない人との生活

働きたくない会社での毎日

 

それぞれの悩みに向き合うことが、とても大切なことだよと

訴えかけられたような気がしました。

 

作者の村田さんの意思とは違うかもしれませんが

ワタシはそういう風に解釈をして読み終えました。

 

・おわりに

読み終えた後の深い感情、考え方が良くも悪くも心地良かったです。

160ページという作品に

内容がとても詰まっていて、感情がとても揺さぶられました。

 

自分の生き方を見つめ直すキッカケになるのではないか、というほどのストーリーでした。

普段ミステリーやファンタジー作品しか読まないワタシでも

とても楽しめた作品でした。

 

オススメ度

★★★★☆

コンビニ人間 (文春文庫) Kindle版

 

おわり

 

ジャケドロ661

 

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