
「殺すか、救うか。あなたの選択が、人の生死を決定します」
二編から成る物語。
読む順番は自由。
あなたの選択で、結末が変わる。
道尾秀介さんの『I(アイ)』は、2025年11月26日に集英社から刊行された、「一冊の本」の概念を壊す革新的な小説です。
累計35万部を突破した『N』を凌ぐ衝撃の体験型ミステリーとして、大きな注目を集めています。
本作は「ゲオスミン」と「ペトリコール」という二つの章から成り、読者がどちらを先に読むかによって物語の結末が大きく変わるという、前例のない仕掛けが施されています。
あらすじなど
本作は、二つの独立した物語から構成されています。
「ゲオスミン」
ホームレスの野宮と知り合った田釜は、元刑事だという野宮が語る幾つかの話に耳を傾けます。
田釜も、野宮も、何かを抱えていました。
「ペトリコール」
硝子職人の律子と暮らす高校生の夕歌は、世間を騒がせた一家殺害事件の生き残りでした。
彼女には誰にも言えない秘密があり……。
著者からのメッセージには、こう書かれています。
「本作は二つの章から成る物語です。
読む順番は自由ですが、その選択により、結末は大きく変わります。
どちらかの順番で読むと、二人の主人公を含め、多くの人が命を失います。
別の順番で読むと、彼ら(彼女たち)は生き残ります。
殺すか、救うか。
あなたの選択が、人の生死を決定します。
後戻りはできません」
「ゲオスミン」と「ペトリコール」という章タイトルは、どちらも雨にまつわる匂いの名称です。
ゲオスミンは土中のバクテリアによって作り出される「雨上がりの匂い」を指し、ギリシャ語で「大地の匂い」を意味します。
ペトリコールは雨が降り始めたときの独特の匂いを指し、ギリシャ語で「石のエッセンス」を意味します。
これらのタイトルが、物語とどのように結びついているのか。
それは、読者自身が体験することで明らかになります。
小説でしか味わえない新しい読書体験
読む順番で結末が変わる革新的な試み
道尾秀介さんは、小説という表現形式の可能性を追求し続けている作家です。
2021年刊行の『N』では、6つの短編小説を読む順番によって物語の印象が変わるという、720通りもの展開が可能な作品を生み出しました。
そして本作『I』では、さらにシンプルかつ衝撃的な仕掛けが用意されています。
たった二つの章。
しかし、どちらを先に読むかで、登場人物の生死が変わってしまうのです。
「書く前は、多くの人から"不可能だ"と言われました」と著者自身が語るように、この試みは小説の常識を覆すものです。
読者が能動的に物語に関わり、その選択が結末を決定する。
これこそが、映像や他のメディアでは実現できない、小説ならではの体験なのです。
道尾秀介という作家
道尾秀介さんは1975年東京都出身。
2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し作家デビュー。
2007年『シャドウ』で本格ミステリ大賞を受賞。
2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞を受賞。
2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞。
2011年『月と蟹』で史上初の5回連続候補を経て直木賞を受賞しました。
デビュー2作目の『向日葵の咲かない夏』は100万部を超えるベストセラーとなり、道尾秀介の名を広く知らしめました。
その他の著書に『鏡の花』『いけない』『きこえる』など多数があります。
巧妙な伏線と驚愕のどんでん返しで知られる「道尾マジック」は、多くの読者を魅了し続けています。
作品の構成と読みどころ
選択の重み
本作の最大の特徴は、読者に「選択」を委ねることです。
「ゲオスミン」から読むか、「ペトリコール」から読むか。
その選択一つで、登場人物の命運が決まる。
これは単なるトリックではありません。
私たちの日常でも、小さな選択が大きな結果を生むことがあります。
右に曲がるか左に曲がるか、その瞬間の判断が、思いもよらない未来へとつながっていく。
本作は、そうした人生の不確定性や、選択の重みを読書体験そのものに組み込んだ作品なのです。
二つの物語、二つの匂い
「ゲオスミン」と「ペトリコール」。
雨にまつわる二つの匂いをタイトルに冠した章は、それぞれ独立した物語として読むこともできます。
しかし、読む順番を変えることで、二つの物語の関係性が浮かび上がり、隠されていた真実が明らかになっていきます。
まるで雨が地面に染み込んでいくように、物語は読者の心に深く浸透していきます。
そして、読み終わった後に残る余韻は、雨上がりの空気のように、静かで、少し切なく、どこか懐かしい感覚を伴います。
道尾秀介の進化
『N』から『I』へ。
道尾秀介さんの挑戦は、より洗練され、より大胆になっています。
「一冊の本」という概念を壊す試みは、読者に新たな読書の可能性を提示してくれます。
本を開くとき、どのページから読むか。
その選択が物語を変える。
これは、小説というメディアでしか体験できない特別な時間です。
読み終わった後の問いかけ
あなたの選択は正しかったのか
一度読み終わった後、多くの読者は気づくでしょう。
「もう一つの順番で読んだら、どうなっていたのだろう」と。
そして、もう一度最初から読み直すことになります。
しかし、二度目の読書体験は、一度目とはまったく異なるものになります。
知ってしまった真実。
気づいてしまった伏線。
一度目には見えなかったものが、二度目には鮮明に見えてくる。
これは、一冊の本で二度も三度も新鮮な驚きを味わえるという、贅沢な読書体験です。
選択と責任
本作は、読者に問いかけます。
「あなたの選択で、誰かが生き、誰かが死んだ。
その責任を、あなたは感じるか」と。
もちろん、これはフィクションです。
しかし、物語の中で下した選択の重みは、読後も長く心に残ります。
それは、私たちの人生における選択の重みと、どこか重なり合うものだからです。
こんな人に特に読んでほしい

道尾秀介ファン、『N』を読んだ人
『N』に衝撃を受けた方、道尾秀介作品を愛読してきた方には、本作も必読の一冊です。
作家としての進化と挑戦を、存分に味わうことができます。
『N』と『I』は物語としての繋がりはありませんので、どちらからでも楽しめます。
新しい読書体験を求める人
今までにない読書体験を求める方、小説の新しい可能性に触れたい方にぴったりです。
能動的に物語に関わる体験は、読書の概念を変えてくれるでしょう。
ミステリー好きの人
巧妙な伏線と驚愕のどんでん返しを求める方には、道尾秀介作品は最高の選択です。
本作でも、「道尾マジック」は健在です。
人間ドラマを深く味わいたい人
トリックだけでなく、人間の心の機微や複雑な感情を描いた作品を読みたい方におすすめです。
登場人物それぞれが抱える秘密や葛藤が、丁寧に描かれています。
注意点など
一度読んだら後戻りはできない
著者も明言しているように、「後戻りはできません」。
一度選択した順番で読み始めたら、その結末を最後まで見届けることになります。
もちろん、読み終わった後にもう一つの順番で読み直すことはできますが、一度目の純粋な驚きは二度と味わえません。
最初の選択を、どうか大切にしてください。
読み返したくなる作品
本作は、一度読んだだけでは終わりません。
必ず、もう一度、違う順番で読み返したくなります。
時間に余裕があるときに読むことをおすすめします。
重いテーマを含む可能性
一家殺害事件など、重いテーマが含まれています。
読むタイミングや心理状態によっては、内容が重く感じられることがあります。
おわりに:選択する読書体験へ
道尾秀介さんの『I(アイ)』は、2025年11月26日に刊行された、「一冊の本」の概念を壊す革新的な小説です。
累計35万部を突破した『N』を凌ぐ衝撃の体験型ミステリーとして、発売前から大きな注目を集めていました。
「ゲオスミン」と「ペトリコール」。
雨の匂いを冠した二つの章は、読む順番によって結末が変わります。
どちらかの順番で読むと、多くの人が命を失います。
別の順番で読むと、彼らは生き残ります。
殺すか、救うか。
あなたの選択が、人の生死を決定します。
「書く前は、多くの人から"不可能だ"と言われました」と著者自身が語るこの試みは、小説の常識を覆すものです。
読者が能動的に物語に関わり、その選択が結末を決定する。
これこそが、映像や他のメディアでは実現できない、小説ならではの体験なのです。
一度読んだら、必ずもう一度読み返したくなる。
一冊の本で何度も新鮮な驚きを味わえる。
そんな贅沢な読書体験が、あなたを待っています。
ページを開くとき、どちらの章から読み始めるか。
その選択は、あなたに委ねられています。
この記事があなたの読書選びの参考になれば幸いです。
おわり
ジャケドロ661
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